「妊娠と育児にまつわる”ホンマでっか”情報」(協議会公開講座 講演録)をご紹介します
平成27年10月18日、松本合同庁舎講堂で松本地域出産・子育て安心ネットワーク協議会平成27年度公開講座「知って安心 出産・子育てのアレコレ」がおこなわれました。
その中から、金井誠・信州大学医学部保健学科長による講演「妊娠と育児にまつわる”ホンマでっか”情報」を抜粋してお届けします。
※この講演録は、月刊イクジィまつもと1月号「イクトピ」に掲載されました。
妊娠と育児にまつわる”ホンマでっか”情報
今回は青文字記載の4つの内容についてご紹介します。
- ショウガはつわりに効く?
- 妊婦は音楽を聞くと不安やストレスが減る?
- 胎教にモーツァルトの音楽が良い?
- テレビやコンピューターの視聴時間が長い子どもは親や友人への愛情が希薄になる?
- 不規則な就寝時間の子どもは成績が悪い?
- 授かり婚(できちゃった婚)はハイリスク?
- 妊婦は刺身を食べちゃいけない?
- 赤ちゃんをソファに寝かして添い寝しない?
- 妊婦の喫煙はハイリスク?
妊婦は刺身を食べちゃいけない?
厚生労働省は、日本人の水銀摂取量では一般に胎児影響は心配なく、魚介類は妊婦と出産に重要である栄養などバランスのよい食事に欠かせないものであるとしています。一方で、水銀濃度が高い魚介類を偏って多量に食べるのは避けることが望ましいとし、妊婦が切り身1切れ(80g)を食べる目安として、
- バンドウイルカ=2ヶ月に1回
- コビレゴンドウ=2週間に1回
- キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなど=1週間に1回
- キダイ、マカジキ、ミナミマグロ、クロムツなど=1週間に2回
といった目安を設けています。特に注意を要せず、通常に食べて良いものとしては、マグロでもキハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶が、また、サケ(サーモン)、サンマ、アジ、サバ、カツオ、イワシ、タイなども挙げられています。
ただ、刺身は生ものですから食中毒に注意する必要はあります。
赤ちゃんをソファに寝かして添い寝しない?
男児、低出生体重児、うつぶせ寝、両親の喫煙がリスクとされていますが、乳幼児突然死症候群(SIDS)についての正確な病態はまだよく分かっていません。日本でも毎年150人程度の報告がありますが、柔らかいソファのうつぶせ寝、添い寝、添い乳は赤ちゃんが窒息死してしまう危険があるので、注意が必要です。
妊婦の喫煙はハイリスク?
妊婦の喫煙により、流産率、早産率が1.5倍になり、喫煙本数が増えるほど増加傾向にあります。早産率では、1日11~20本で13%、31本以上だと33%になるという統計も出ています。出生体重では平均200g軽くなり、ヘビースモーカーでは450g軽くなって、2500g以下の児の頻度は約2倍になるというデータもあります。奇形の発生は、現時点で増加の傾向はありませんが、生後の神経発達障害との可能性が示唆されています。
ただ、妊娠早期に禁煙した場合、出生体重はほぼ正常で、早産率が減少するということもしっておくことが重要です。
ネット社会の妊娠や育児〜うまく過ごすコツ
インターネットの普及などで妊婦や育児に関する情報は簡単に入手できるようになりましたが、全く同じ妊娠経過や、全く同じ児の成長はあり得ません。情報過多は心配し過ぎの原因となることがあり、本来楽しい時間である妊娠や育児を、苦しい時間にしてしまう可能性があります。しかし、情報が安心を与える可能性が大きいのも事実です。
情報社会をうまく過ごすコツは、「いいかげん」=「良い加減」「てきとう」=「適当」です。これは、ほど良い加減で適切ということ。生きていく中で、「いいかげんでてきとう」なほうが案外幸せだったりします。情報は適度に利用する。それに振り回されて、自分や子どもの生活が不自然に縛られたら本末転倒です。人には個人差があることを認識して、それをおおらかに認めることで、妊娠も育児も、楽になることが多い気がします。
ある一つの研究結果に「笑いは免疫力を高める」というのがあります。お母さんも笑っているほうがいいです。せっかくの育児、良い加減で適切に、みんなで妊娠と育児を楽しみましょう。
※この講演を含めた平成27年度公開講座の詳しい開催内容は、次のバナーのリンク先からご覧いただけます。
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